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紐育

昨日に引き続き、

箱から一掴みした歌謡曲・ポップスの

7インチシングル限定で、

松本隆の歌詞に注目してチョイスする後編。


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6位

薬師丸ひろ子『すこしだけ やさしく』(1983)

作詞 松本隆 作曲 大瀧詠一


『セーラー服と機関銃』に続くセカンドシングルで、

薬師丸自身が主演した映画『探偵物語』の

主題歌との両A面シングル。

どちらも松本・大瀧コンビの曲だが、

『すこしだけ やさしく』の方がモロに大瀧節の楽曲。

これも昨日の『風立ちぬ』同様、曲の冒頭で

タイトルを使ってサビにするパターン。

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1番では「少しだけ優しくしてあげる」

2番では「少しだけ冷たくしてあげる」と、

正反対の供給を告げるツンデレソング。

2番には

「ガラス越しの店でミルクティー飲んでいるの」

と、唐突かつ謎のツイートがブリッジになっている。


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7位

中原理恵『東京ららばい』(1978)

作詞 松本隆 作曲 筒美京平


レコード大賞新人賞を獲得し紅白にも出場したヒット曲。

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まずは歌い出しの

「午前三時の東京湾(ベイ)は」だろう。

これが「とうきょうわん」だったら印象がまるで異なる。

あくまで個人的な意見だが、

今では一般的になっている「東京ベイエリア」

って呼称はもしかしてこの曲から?と思っている。

それとも、これ以前からあった表現なのだろうか?

あとは「ねんねんころり寝ころんで」の、

なんとも言えない語感も良いし、

締めの「ないものねだりの子守唄」まで

一気に流れていくのも良い。

ただ、「地下があるビルがある」

「部屋がある窓がある」のくだりは

何を表してるのか意味不明だ。


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8位

Y.M.O.『君に、胸キュン。』(1981)

作詞 松本隆 作曲 Y.M.O.


YMOに対して『テクノ歌謡』という括りが

果たして適正なのか迷うところだか、

この曲はYMOがヒットチャート1位を狙った

まさテクノ歌謡クラシック。

元々カネボウ化粧品のCM用の曲であり、

CMのキャッチコピーでもあった

「胸キュン」をテーマに作られた曲。

実は、1年前に松本隆・細野晴臣コンビで

山下久美子『赤道小町ドキッ』をヒットさせた経緯があり、

その際に歌詞中ではないが「胸キュン娘」というフレーズが

使われていた説があるので、

やはり松本隆が考えた言葉だろうか?

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曲の間奏で突然イタリア語が出てくるが、

その後で「伊太利亜の映画でも見てるようだね」

という歌詞に繋がっている。

(伊太利亜と表記するのも松本隆スタイル)

タイトルに「、」「。」を用いるのも珍しかったのでは。


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9位

森進一『冬のリヴィエラ』(1982)

作詞 松本隆 作曲 大瀧詠一


ジャケのスウェットセットアップ姿が眩しい

演歌歌手(とイメージされている)森進一にとって

ポップスへの大胆な挑戦となった曲であると同時に、

松本隆にとっても「第16回日本作詞大賞」で

初のグランプリを獲得した曲である。

リヴィエラとはイタリア語で海岸のことらしい。

松本隆の中でイタリア語がマイブームだったのか?

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実は森進一はこの次のシングルで続編的な

『紐育(ニューヨーク)物語」(作曲 細野晴臣

編曲 坂本龍一)、

(モチロン、紐育と書くのも松本隆スタイル)

さらに次のシングルでも『モロッコ』(作曲 筒美京平)と、

3枚連続で松本隆を起用しており、

「松本隆 海外3部作」と呼ばれている。

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冒頭の「彼女」を「あいつ」と読ませる得意の手法、

そして語り口調の歌詞。

これは誰が誰に語りかけているのか?

彼女(あいつ)を置いて旅立つ主人公が、

誰か第三者に伝言しているような内容だ。

「やさしさが霧のようにシュロの樹を濡らしてる」

「皮のコートのボタンひとつ とれかけてサマにならない」

この部分だけが主人公の語り口調ではなく、

状況を説明するナレーションのようになっている高等テクニックだ。

曲は『風立ちぬ』などと全く同じ、

一聴して大瀧と解るコード進行で、

歌詞を入れ替えても歌えそうなほどだ。


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10

大滝詠一『さらばシベリア鉄道』(1981)

作詞 松本隆 作曲 大瀧詠一


大ヒットアルバム『A LONG VACATION

からのシングル・カット。

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ナイアガラ・トライアングル『A面で恋をして』

とのカップリングでリリースされた。

元々この曲は大滝自身が歌うために作られた曲だったが、

この歌詞の主人公が女性であることから、

大滝が歌入れに難色を示したため、

代表作『木綿のハンカチーフ』を始め、

初期のシングルのほとんどが松本隆作品だったシンガー

太田裕美に提供することになった。

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つまり、世に出たのは太田裕美ヴァージョンが先で、

大滝はセルフカバーとしてアルバムに収録したのだ。

太田裕美版は大してヒットしなかったので、

結局こうやってシングルカットするくらいなら、

最初から普通に自分の曲として出せば良かったのにと思わなくもない。

それに、そこまで大滝が難色を示すほど、

女性っぽい歌詞でも無いような気がするが。

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「伝えておくれ十二月の旅人よ

いついつまでま待っていると」


それにしても、このシベリア鉄道という

舞台設定は何処から生まれたのだろう?

ロングバケーションって夏のアルバムって

イメージだったし。


という訳でまたまだ山ほどあるけど今日はここまで。



(文中敬称略)


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by imag0020 | 2017-09-18 10:36 | レコード日記
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DJ / 音楽評判家 / 80's洋楽王 / マットマートンファンクラブ / アイマグ編集長


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