原宿
70s原宿 原風景
エッセイ集 思い出のあの店、あの場所
(DU BOOKS)
70年代、「ファッションの街」が誕生した時代。
原宿から人生が始まった45人の珠玉の青春エッセイ集。
高橋靖子/中西俊夫/藤原ヒロシ/大久保喜市/柳本浩市/ミック・イタヤ ...他
貴重な写真や資料も掲載!
「みんな何者でもなかった。でも、自由だった。そして、ドキドキ、ワクワクしていた。 恋に。音楽に。ファッションに。これからの自分に。 」
僕は上京願望を持ったことがほとんどない。
ZOOTをやってたこともあってか、
よく「東京に何年くらいいたんですか?」
って聞かれることがある。
聞かなくともそう思い込んでる人もいたり。
「いや、何年どころか2週間くらい仕事で滞在したのが最長で」って毎回答えてた。
僕の周りの知人友人はみんな東京で生活していた時期があって、
「一番(東京に)行きそうな人が行かなかったね」
と、よく不思議がられた。
モチロン、活動の拠点を東京に移す話も何度となくあった。
でも、その都度何かしらの理由で一瞬東京に向いた気持ちを封じ込めていた。
僕は大阪で生まれ松山で育ったので、
幼少期から自分の趣味趣向は大阪で充分賄えていたし、
10代の頃は東京を飛び越えてロンドンに憧れていた。
とは言え、80年代のクリームソーダやア・ストア・ロボット、
90年代には俊美さんがラフォーレでやってたセルロイド、
あとは友人達のいた古着屋さんなど、
各年代で好きなショップがあった原宿という街には常に興味を抱いていた。
モチロン、DOARATもあったし、
一大ムーヴメントとなった裏原系など、
関わりのある人達のショップが勢いあった時代も深く記憶に刻み込まれている。
東京を知らない僕にとっては、
レコ屋は渋谷でファッションは原宿
みたいな単純な構造で捉えていたような気がする。
自然と面白い人が集まってくるサロン的な役割を果たす店があって、
そこに集う人と人との繋がりからコミュニティが生まれ、
街全体が一つのカルチャーとなってっていう構図、
それこそが僕が原宿に最も関心を持つ部分だ。
この本に登場する人やショップは、
やはり僕らより少し上の世代で、
名前しか知らないようなショップがほとんどだ。
でもロンドン同様、実際に行ったことはなくても、
当時やたら本などで情報を得ていたので、
行った気、知った気になっていたものばかり。
全てが伝説だ。
たまたまこの本を読んでるタイミングで、
尊敬するReady Steady Go! 後藤田さんと会ったのだが、
正にこの本に出てくる時代の原宿をリアルタイムで体現してた人なので、
『レオン』『セントラルアパート』
などの話を少し聞かせてもらって、
より本の内容を立体的に捉えらることができた。
それにしても昔の記憶って美化されてて、
実際の写真を見たらちょっと恥ずかしい、
みたいなことがよくあるけど、
この時代のプラスチックスの人たちとか、
どう見てもカッコいいなーって思う。