芸歴
例の騒動が起きる直前だったが、
『アメトーーク!』
「先輩?後輩?芸歴ハッキリさせよう」(6/6 O.A.)
って回があって個人的にとても面白かった。
自分でもなぜだかよく解らないのだが、
以前から芸人さんの芸歴にとても興味があって、
雑誌『マンスリーよしもと』2005年12月号
「NSCってスゴイ!!」って特集を当時繰り返し読んで、
「あー、〇〇と〇〇って同期やったんかー」って
何の得にもならない知識を得て喜んでたのを思い出した。
彼ら芸人さんにとって芸歴はとても重要で、
それによって芸人さん同士の関係性に大きな影響がある。
お互いの年齢は関係なく1日でも早くデビューした方が先輩。
実はこの「年齢は関係ない」って部分が
芸歴の判定をややこしくしている。
いつデビューしたのか?
が曖昧になっている人が多いからだ。
吉本ならNSCという養成所を出てる人は
同じ時期に学んでいた人を「同期」として認識しているが、
養成所に通わずオーディション等を通過してデビューした人は「いつの間にか劇場にいた」って感じになる。
なので、アメトーークでは
- 弟子時代&養成所時代は芸歴に含まない
- (ギャラを貰った)初舞台&事務所所属がデビュー年
という独自ルールを設けている。
関西、関東、その他の地方都市それぞれで活躍していても
全国ネットのテレビに出ていないと存在を知る機会も少ない。
だから、ギャラが発生した舞台やテレビ出演等を初仕事(デビュー)と位置付けて申告することで、ずっと先輩だと思っていた人が実は何年も後輩だと判明したりして、
今まで敬語で接してきたことをもったいないと感じたり悔しがったりするのだが、
その逆転劇を生むまでの攻防がスリリングで非常に面白かった。
コレが僕の好きな野球の世界になると完全に年功序列だ。
プロ入りするのに高校卒業して入団する選手もいれば大卒、
社会人野球、独立リーグなどを経て入ってくる選手もいる。
大学に浪人して入学したり留年する選手もいるので、
余計にプロ入り時の年齢は様々だ。
なので高卒でプロ入りして既に数年のキャリアを経ていても、
後から先輩が入団してくることもあるのだ。
ある選手は後から入団してきた選手の生年月日を選手名鑑でチェックして先輩か後輩か把握していると語っていた。
中学や高校の野球部での先輩後輩関係は絶対だ。
何歳になってもその関係性は失われることはないだろう。
それが、もし芸歴ルールだったら、
高校生の時にめっちゃ怖かった先輩がプロで後輩になったりすることもある。
それは当人同士にしたらあり得ないだろう。
それで、ふと思ったのが我々DJの芸歴だ。
DJって、いきなり職業にする人なんて皆無というか、
趣味で始める人がほとんどだから
デビューがあやふやで芸人さんに近い部分もある。
特にライセンスも必要無いので自称すればその日からDJになれる。
じゃあクラブなどのパーティやイベントで
人前でプレイすることがデビューなのか?
でもギャラが出ない人も多いだろう。
かく言う僕自身もデビューがいつなのか?
全く解らない。
僕はレコードが好きで、山ほどレコードがあるDJブースに入りたくて、
当時ディスコでDJしていた井坂彰さんに先に見習い(弟子入り的な)で入った友達に着いて行っただけ、みたいな形ではあるけど、一応は修行時代を経ている。
なにしろターンテーブルや機材も一切持ってなくて、
ただただレコード買っていただけだし、
練習も店の営業終了後に店でやらせてもらった程度だが。
でも、結局そのディスコでは一度も営業時間内にプレイする機会はなくて、その後のBPMってクラブでもちょこっとやらせてもらったくらいでまだまだ本格的なものじゃなかったし。
でも、デビューという意味では初舞台を経験していることになる。
それが多分1987年とかになるのか?
いずれにしてもキャリアだけなら30年は超える。
気になっていろんなDJのプロフィールを見てみたけど、
ハッキリと何年デビューって表記してる人はほとんどいないようだ。
ここに1988年に出版された
いとうせいこう監修による
「ULTIMATE DJ HANDBOOK』
という本がある。
当時、東京クラブシーンの黎明期に第一線で活躍している
レジェンドDJの方々を一斉に紹介した画期的な内容で、
リアルタイムで買って貪るように読んだ。
後々、一緒にやらせてもらうことになるDJも多数いて、現在も現役で活躍されているDJの若き日の姿を見ることができる。
須永辰緒さんは僕がこの本を持ってるのを見て「これは回収してるから」って没収されそうになったこともある 笑
中に各DJのプロフィールがあり、
それぞれが「DJ歴〇年」と書いてある。
モチロンあくまで自己申告ではあるので正確かどうかは定かではない。
それによるとデビュー年が
1980年 大貫憲章
1982年 藤原ヒロシ
1983年 須永辰緒
1985年 藤井 悟 DJ EMMA etc. となる。
やはり、この辺りの方々は明らかに僕より「先輩」だし、
東京にクラブがオープンし始めた頃から活動するフリーDJ第一世代だ。
更に『LIFE AT SLITS』によると、
1988年 瀧見憲司
1989年 川辺ヒロシ
クボタタケシは1992年~93年頃?のようだ。
(本人に確認すれば早いのだが)
僕にとってはこの辺りの人達が同世代になるが、
デビューは僕の方が早いから先輩になるのか?
小西康陽さんみたいにアーティストとして、
プロデューサーとしての確固たるキャリアがあって、
後々DJを始めた人もいるしな。
例えこっちが先輩だからと言って川辺ヒロシに先輩面できるはずもなく、結局のところ当人同士の関係性次第だなと。
文中一部敬称略