芦笛
素晴らしき邦題の世界 シリーズ vol.17
メキシコの女性シンガー、
ソニア・ロペス、1965年のヒットシングル。
邦題は『黄色いスカートのクンビア』
タイトルの pollera amarilla は翻訳すると
そのまま「黄色いスカート」となるので
直訳系邦題ではあるのだが、
まず「~のクンビア」としていることに注目したい。
日本のレコード会社は、海の向こうで流行し始めたニューリズムや多様なダンスミュージックを積極的に紹介してきた。
ボサノヴァ、ブガルー、ルンバ、マンボ、チャチャチャ、サルサ、スカやレゲエもそうだ。
それぞれの言葉の響きも日本人の耳には聴きなれなく新鮮なものだったのだろう。
これらのレコードの国内盤には必ずと言っていいほど邦題に
「~マンボ」とか「~スカ」とつけていた。
そうすることで日本でも一大ムーヴメントになり、
日本人歌手も採り入れカバーし、ポップスとしてヒットさせるパターンがあった。
(モチロン、日本人のクンビアも出ている)
さて、この『黄色いスカートのクンビア』だが、
実はよくあるヒット曲の二番煎じを狙ったレコードだった。
カルメン・リベロ楽団演奏による
『赤いスカートのクンビア (La pollera colora)』(1965年)
という大ヒット曲があってあからさまに便乗したのが、
このソニアロペスのシングルで、
結果これもヒットしてしまったようだ。
こうなると商魂逞しいレコード会社がチャンスを逃すはずもなく何の捻りもないまま
『青いスカートのクンビア』
までリリースさせたがさすがに無理があったようだ。
それにしても我々DJの間でクンビアが本格的に流行したのは2000年代に入ってから。
こうやってリアルタイムで日本に入ってきていたことに今更ながら驚かされる。
この日本盤シングルは海外でも高額取引されている一枚だ。